せつか

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理想:考え得る最高の状態。
理想の旦那様、とか理想のパートナー、とか色々あるけれど·····

「理想のあなたになってくれる?」
「·····どういうこと?」
「あなたは優しくて仕事も真面目に勤めてて、結婚して良かったって思ってるけど·····」
「何か不満でもある?」
「あの漫画は嫌い」
「――へ?」
「あのアイドルも私は歌が上手いなんて思えない」
「いや、俺が好きで聴いてるんだからいいだろ」
「あなたがあんなのを聴いてるのが許せない」
「あんなのって·····、お前に聴けとか言ってないだろ」
「私の理想のあなたはあんなの聴かないの」
「おい·····」
「理想のあなたは下品な漫画なんか読まないし、あんな下手なアイドルの歌なんか聴かない」
「おい·····っ、なに持ってんだよ·····」
「私の理想のあなたになって欲しいの」

――私のために。

「お前、おかしいよ」
「私の理想のあなたはそんな事言わないのよ」

振り上げた包丁の刃先が天井の光に反射して·····。


END


「理想のあなた」

5/20/2026, 3:32:10 PM