ユウキ

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「推し友達を作らないの?」と聞かれることがたまにある。SNSで推し活用アカウントを作らないのか、という場合がほとんどだ。
 確かに利点は多い。私の推しはメディア発信が苦手なのか面倒くさがりなのか、知らないうちにTVに出演していたり舞台に立ったりしている。事後報告、早くても当日の1時間前に投稿があるくらいだ。そんな人を推している場合、SNSアカウントがあれば情報に敏い方々がすぐに拡散してくれる。今日も新情報を他の人から聞かされて椅子から飛び上がって驚いたばかりだ。

 しかし私は、SNSでも何でも、推し同士のコミュニティに属するのが苦手だ。そこには嫌でもマウントが発生する。鑑賞回数、かけた金額の大きさ、投稿頻度、色々な基準で皆が(まるでそんなつもりはないような顔をしながら)競い合っている。
 推しのことを、私より長く知っている人はたくさんいる。TVも見逃さない人、見たものは全てレビューする人もいる。私は残念ながら、いくら推しとはいえどそこまで時間は取ることは出来ない。
 SNSの波に身を投じてしまうと、私の推しへの想いの強さが、客観的基準で順位付けされてしまうように思う。それが怖い。

 私は私の感じ方で、推しを捉えていたい。
 その時々の私の状況と、推しの表現が混ざり合って、私は私だけの推しの表現の魅力を感じ取る。その感動は他の人とは共有出来ない。他人は私と同じ状況ではないのだから、同じ化学反応が起こるわけがない。同じように感じるわけがないのだから。

 だから私は、推し友達を作らずひっそりと推しを想い続ける。誰にも知られることなく、私だけが感じることのできる感動を、ひとつひとつ大切に宝箱にしまいながら。

7/19/2024, 9:52:16 AM