NoName

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「コーヒーは苦くて苦手」
多分私が昨日こう言ったから、
あなたは大好きなコーヒーを我慢して、慣れない紅茶を私と一緒にすすっている。
「別に私に合わせなくていいのに」
ぼそりと呟く。
「朝はお前と同じもの飲みたいからな。
それに、紅茶も美味くていいもんだ」
そう言って、あなたは笑う。
あなたは小さなティーカップを掴んで、一気に中身を飲み干すと、「ごちそうさま」と手を合わせた。
その豪快っぷりに私は笑いながら、
「紅茶は香りを楽しみながら、少しずつ飲むんだよ」
するとあなたは、
「そ、そうなのか。次からはそうしてみる」
なんて、慌ててかちゃかちゃとカップを台所に運んでいった。

明日は私の方が少し早起きして、あなたが大好きなブラックコーヒーを入れてあげよう。

10/27/2023, 12:01:54 PM