彼からもらった指輪を見つめる。
「どうしたの?」
その様子を見ていた彼が、私に声をかけてきた。
私は彼に視線を向ける。
「しあわせ〜」
そう言葉にしながら自然と顔がゆるんでしまう。その様子を見ていた彼が満面の笑みを浮かべて後ろから抱きしめてくれた。
「俺もしあわせ〜」
流れるように頬に柔らかい唇が触れる。そのまま首元を吸いながらくすぐってくる。本当にイタズラっ子のようだ。
「くすぐったいですよー」
そんなふうに彼とじゃれていると、彼が私の左手を取り二人の前にかざした。
「大好きだよ」
いきなりの告白に胸が高鳴る。でも、同じ想いを伝えたくて「私もです」と伝えながら、彼に体重を預けた。
「次はペアリングを買おうね」
それが何を意味するのか、分からないほど子供でもない。彼の顔は見えないけれど、私は心の底から彼への気持ちを込めてうなづいた。
「はい、一緒に買いに行きましょう!」
先はまだ分からない。
未来からすると、まだ旅の途中。
でも、分かっているんだ。
彼と一緒なら、私はしあわせだってこと。
おわり
二六〇、旅の途中
1/31/2025, 1:34:29 PM