流星群は宇宙に漂うチリの集まりらしい。地球の公転軌道とチリの帯の位置関係で、地球にいる僕らには星が流れるみたいに映るだけであって、チリ自体は別に降っても動いてもない。宇宙空間には上も下もないし。
「夢がないなあ」
スマホ画面を見つめたまま君が、ぐるぐる巻のマフラーの端から唇を尖らせる。間を埋めたいがだけの解説を僕は引っ込める。
駅を出て歩いているうちにも雨が降ったり止んだりしていた。天気予報は晴れだったけど、雲が晴れる様子はない。
「どうする? 何か食べてく?」
「止むって」
「へ?」
「止むって、雨」
スマホを閉じた君が、僕の手を引く。僕らにはまだ見えない星が、雲の向こうで夜空を越える。
『夜空を越えて』
12/12/2025, 9:59:09 AM