しいな

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「今日の天気はあいにくの雨模様です。お出かけの際には傘を忘れずにお持ちください」

天気予報はいつも変わらない。いつからだったか最早忘れてしまったけれど。観測史上初の連続の雨が世界を覆った。太陽が燦々と輝いている光景なんて、いまやテレビの特集でしか見られない。

それでも。いや、そんな世界だからこそ僕は君に恋をした。初恋だと言っても過言では無い。

テレビで見た君は太陽をしっかと見つめ続けていた。誰よりも太陽に近づこうとスラリと伸びた身体。小麦色よりも焼けた頬。全ての光を受け止め輝く黄色い髪。

「そんな迷信のような世界に恋をしているなんて馬鹿げてる」
友人や父親でさえも現実を見ろ、今日も明日も雨だと言う。きっとそうなんだろう。明日の為にレインコートとレインブーツ(最早傘をさして歩く人などいない)を用意する。大雨で仕事へ遅刻するなんて理由は通らないから、出勤予定より3本早い電車に乗っていつも通り仕事をするのだ。

それでも、世界で1人くらい太陽の下で凛々しく咲き誇る君--向日葵の姿を夢見てもいいと馬鹿みたいに信じている。

明日、もし晴れたら真っ先に君に会いに行こう。

8/1/2023, 1:13:12 PM