「んんっ!? ここは!?」
気がつくと、僕は見知らぬ交差点に立っていた。
住宅街の十字路。周りはアパートやマンションに囲まれている。
気がつくまで気がついていなかったのだから、僕は眠ってでもいたのだろうか?
「ここ、どこだ……?」
周りを見回しても情報は家々と囲いの壁だけで、得るものは何もない。
縁もゆかりも無い場所にぽつんと立たされて、どうしようかと迷っていると、ふと自分が明かりに照らされていることに気づいた。
(ん?)
まるでスポットライトを浴びるかのようにくっきりとした明かりが自分の周りを照らしている。
「んん?」
まさかと思い頭上を見上げると、本当に照らされていた。
眩しいとは思っていたが、よもや本当に照らされていたとは思わない。
眩しさに目をすがめながらよくよくライトを見てみると、見たことはないが見覚えのある形をしていた。
「UFO……?」
呟いた途端、明かりの真ん中に丸い影ができ、筒のような何かが僕目掛けて降りてきた。
僕は蛇に睨まれたカエルのように体が動かず、なすがままに筒に捕らわれ、光と共にさらわれていった。
/10/11『未知の交差点』
「はい、おかあさん」
買い物から帰ってくると、息子が花を持ってきた。
幼稚園で摘んできたのだろうか?
「なあに?」
これはどうしたのかという意味で尋ねたが、通じなかったのか息子は、
「こすもす」
一言答えた。
「コスモスだね。かわいいね。これどうしたの?」
「おかあさんにあげる」
プロポーズよろしく私に花を差し出すと、息子は子ども部屋に駆けていってしまった。
(なんなのかしら?)
花の意図は分からぬまま、道端でよく見る一輪のピンクのコスモスを差すための容れ物を探した。
/10/10『一輪のコスモス』
10/11/2025, 2:10:00 PM