【LaLaLa GoodBye】
普段より丁寧な呼び出しに、嫌な予感はしていた。
いかにも申し訳なさそうな顔であなたが口を開く。
「ごめん、他に好きな人がいて。別れてほしい」
いつかそう言われることを、私はわかっていた。
関係の始まりは、あなたの告白から。
初めて告白というものを受けて純粋に嬉しかった。
正直、あなたのことは好きでも嫌いでもない。
だけど、好きになりたいと思ったから付き合った。
その日から、あなたの姿がよく目に入る。
休み時間に。登下校中に。移動教室の合間に。
視線に気づくと、あなたは笑顔で手を振ってくれる。
それだけで大切にされていると実感して心が浮つく。
共に時間を過ごすうち、存在が大きくなっていく。
他の誰かではなく、あなたの隣にいたいと願った。
そして訪れたあなたの教室で、聞こえてしまった。
友達と話すあなたの声。本当の想い人の話。
昔から一途に想ってきた相手に彼氏ができたらしい。
未練を断ち切るための手段が、私への告白だった。
誰でもいいわけではなかったみたいだけど。
なんだか無性に虚しくて、気づけば涙が零れ落ちた。
思い返すと、好きだと明言されたことはなかった。
告白の時は「付き合ってください」と言われただけ。
好感を好意だと思い込んだ、私の勝手な勘違い。
今さら離れがたくて。その結果がこれなら残酷だ。
あなたが正直すぎるせいで怒るに怒れなかった。
せめて、好きな人の幸せを願える私でありたい。
一人になって、嗚咽混じりの声で歌を口ずさむ。
報われない恋心なんて早く忘れてしまいたいのに。
10/13/2025, 4:01:24 PM