いぐあな

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300字小説

私の為の『My Heart』

 人と共に暮らす、家事・育児・介護等のパートナーロボットは、もちろん心は無いが『感情プログラム』を持っている。『家族』と決めた人の表情筋や仕草から、その感情を読み取り、それにあわせて好感を持って貰えるように動くプログラムだ。その働きで人はロボットの所作や会話に感情を感じる。そして、それは次の所有者に移る前に初期化されるプログラムでもあった。

「これが美緒様と共にいた私の感情プログラムです」
 知人に譲渡する前、ロボットのアカネが小さなチップを手渡す。
「お世話になりました」
 そう彼女が私が好きだった笑顔を浮かべて別れを告げる。
 彼女の中で私の為に産まれた『My Heart』。私はそっと大切にそれをしまった。

お題「My Heart」

3/27/2024, 11:52:42 AM