YOU

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「バイバイ、またね」
そんな言葉が飛び交い、みんなそれぞれの方向へ歩いて行く。同じ場所で楽しい時間を過ごしたから、もっと泣いたりするかと思ったけど、卒業式はあっさりしたものだった。
「おい」
背後から肩を叩かれ振り向くと
「何だよ」
そこにいたのは1番仲が良かった親友で。
「このまま、何も言わなくていいのか?」
「何が?」
「何がって、あいつにだよ。ずっと好きだったんだろ?」
「そうだけど…」
「ならさ…」
親友は俺の両肩をガシッと掴み
「後悔すんな」
真剣な顔で言う。
「でも…」
「あいつを想ったまま、次にいけるような奴じゃないだろ、オマエは」
「………」
「今を逃したら、次に会えるのはいつかわかんねえぞ」
「…わかった」
親友に檄を飛ばされ
「誰よりも、ずっと好きでした」
と告げるため、彼女の元に向かうのだった。


1つ前のお題「これからも、ずっと」です。

「喜んでくれるかな」
定時で退社し、花束とケーキを買い足取り軽く家へ向かう。今日は初めての結婚記念日。日頃の感謝を込めて、サプライズでプレゼント。
「ただいま」
玄関を開けると
「おかえりなさい」
エプロンを着けたキミが出迎えてくれる。
「はい、これ」
背中に隠していた花束を差し出すと
「すごくキレイ。ありがとう」
俺に抱きついてくる。
「ケーキも買ってきたんだ」
「嬉しい。今日は結婚記念日だもんね。私もいつもより頑張ってご飯を作ったよ」
結婚記念日だからお祝いしよう。と、約束をしたわけじゃないのに、キミも同じ気持ちでいてくれたことが嬉しい。
「ありがとう。何回目か数えられないくらい、結婚記念日をお祝いしよう。これからも、ずっと隣にいてください」
「はい」
微笑み合った俺たちは、誓い合うようにキスしたのだった。

4/10/2023, 9:33:27 AM