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(※書き進めたらタイトルの要素が薄れました)


セミの鳴き声が聞こえ始めた季節
私ひまりは幼なじみのあかりと勉強会をしていた。
中間テストの成績がちょっと、まぁだいぶまずくて
お節介な幼なじみがこうして期末前に対策をしてくれている。
今も私が分からないところをどうやって解説しようか、教科書とノートと交互ににらめっこしている。

かわいいなぁ、そう思ってるといきなり鋭い視線とぶつかった。

「ねぇ、集中してる??自分でもちょっとは考えてよ!」
「ごめん、かわいくて見惚れてた」
「冗談言ってる余裕あるなら手動かしなー?」
「ちぇっ、本気出しますか」

仕方なく机の上の文字列に目を移した。
見たことがあるような無いような単語が散らばっている。読んでみると案外簡単であっさりと進めることが出来た。

「……い」
「おーい、そろそろ休憩しない?」

あかりの声ではっとし窓の外を見るとオレンジ色になっていた。

「わ、もう17時なんだ。めっちゃ集中してた。」
「珍しく寝ずに勉強してて驚いたよ。」
「珍しくは余計だよ!何も言い返せないけど…」
2人で笑い合う

「ねぇ、やればできるタイプなのになんで勉強しないの?」
「いきなり刺してこないでよ、笑
うーん、なんでか。なんかやる気出ないんだよね」
「やる気かぁ…、分かった!今回のテスト私より良かったら1個お願い聞いてあげる!」
「え、それ本気で言ってる?あかりさんあなた中間テスト何位でしたっけ?」
「学年6位」
「だいたい赤点のあたしが勝てるとでも?」
「ひまりって中学までは成績良かったからさ、きっと高校で本気出してないでしょ?ひまの本気みたいなぁって
なんでもお願い聞いてあげるからさ!」

「…なんでもいいの?」
「もちろん私の出来る範囲でだよ?1億欲しいとかは無理」
「それはそうでしょ笑」
「なんか今欲しいものとか、やって欲しいこととか、一緒にどっか行きたいとかでもいいからなんかないの?」
「欲しいものかぁ…あ、」
「おっ、なになに〜?1億円は無理だよ?」
「分かってるって、笑」
「なにか思いついた?」

「あかり」
「ん、なに?」

「だから、あかりが欲しい」


「え、え?勉強のしすぎで壊れた?」
「全然あたしは正常よ?」

突然のことに徐々に顔を赤くなっているあかりをみれただけでもうご褒美だと思う

「あかり、あたしと付き合って
もちろんテスト終わったあとね?」

「…それってさ私が勝ったら振っていいの?」

「ん、大丈夫。」

「…ふぅー、いつも授業中寝てるひまに負けると思わないけど?!もし、負けたら、その時は、、」

「?」

「その時は、付き合う、」

きっとあたしが傷つかないようにかわすんだろうと思っていたから、驚いた。
半ば無理やり取り付けてしまったことを少し後悔していた。けど、もうあかりを離したくないなぁ、そんな欲があたしを埋める。

「やっぱ無しはだめだからね」

保険でこんなこと言うあたしはダサいと思う。
あかりは少し笑ってから顔を赤くしていた時とは違う雰囲気で口を開いた。

「そんな事言わないから、
そのかわり私が勝ったらお願い聞いて」

予想してなかった返事がきた。私には断る義理も無いので「いいよ」とだけ返した。
あかりはさっきと同じ雰囲気で微笑んでから
いつもの調子に戻った。

「よし、やる気も出ただろうし、もう少し勉強して解散にしますか!」

「うん、そうしよ」


この日から1ヶ月後、期末テストの結果が出た。
私は3位、あかりは5位だった。
私は改めて告白し、あかりと付き合うことになった。

それからまた数日、ふと気になったことがあって休み時間に聞いた。
「そういえばさ、あかりのお願いってなんだったの?」
「っ、それ今聞く?」
「そんなやばい事なの?」
「やばくは無いけど、恥ずかしいというか…」
「大丈夫だよ、言ってみて」
あかりは耳元で
「あかりと付き合って、ってお願いだった」

私は今どんな表情なんだろうか、
思わず両手を顔に当てた

「教室で聞くんじゃなかったぁ」
「だから!いったじゃん!」

顔真っ赤にして、不満を込めてでも決して痛くないように私を叩いている。そんな姿も可愛くて、
思わず「好きだよ」と、
私の想いは溢れるばかりの日々になった。

今でも私の一番欲しいものは、かわらない。



タイトル:今一番欲しいもの

7/21/2024, 4:23:28 PM