狭い部屋
生き物がいると、生活に張りが出てくる。狭い部屋で生活していると尚更そう感じる。
犬や猫の場合は、伝えた愛情が返ってくるからわかりやすい。植物の場合は、花が開いたり枝が伸びたり、新葉が艶を輝かせたり。無言でも変化が見えて楽しい。
難しいのは、窓際の金魚鉢の住人だ。餌をやるときは反応があるが、それ以外はいつも変わらず。笑いもせず声もあげず。
可愛いと思うときもある。でも、やるせない気持ちになるときもある。小さな命をコントロールしている、小さな優越感に浸っているだけなのかも、と。
本当はこんな小さな鉢から出て、大河を旅したいと思っているのかも、と。
そしてたぶん、それは自分自身のことなのだ、と。
そんなことを考えながら、ごめんな、と言いながら鉢の中に餌を放つ。
6/4/2024, 9:57:09 PM