誰かの人生を描きたいひと

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midnight 夜景

ひとり。
ひとりで見る夜景は、残酷なミッドナイトブルー。
ツリーに飾られた赤い実が揺れる。
しんしん積もる雪が、どこまでも高く広がる深夜の空から降りてくる。粉雪のひとひらひとひらが、「わたしをみて、わたしをみて」と、か細い声で呟いているのだ。必死に。どうせ、汚れた地面に辿り着いて、この世から消えてしまうのに。
私はそういう、無情な考え方しかできない。
だって私の人生はこんなにも無情だから。

シャンシャンシャン。シャンシャンシャン。
どこかのお店から流れてくる、軽やかなメロディー。小さい頃、よく歌ったクリスマスの歌だ。
毎年やってくるこの季節。すべてが白く、清らかで、柔らかい。
そう、まるでお母さん。私の大好きなお母さん。
もう涙は出ない。だって私がどう足掻いても、お母さんは戻ってこないから。

7年前、二人で見た真っ白な季節。この場所の夜景。
あのときと同じクリスマスツリー。
でも、もう何もかも、あのときとは違うのだ。

私は大きなツリーに背を向けた。
家に帰ろう。帰りたくない家に。
もうここには来ない、たぶん二度と。


9/18/2022, 2:05:14 PM