いす

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「お部屋は北向き、くもりのガラス、うつろな目の色、とかしたミルク、わずかな隙から、」囁きを聴いている。お前はずっと恐れている。誰もがこの女の声を褒め称える。この女の声に郷里を感じ、愛し、満たされ、来たる未来を祝福するようになる。女はお前を見上げ、季節を歌う小さな声を続ける。「誰かさんが誰かさんが誰かさんが見つけた」お前はずっと恐れている。郷里を持たず、祝福されうる未来のないお前にも、虚しく均しく秋は訪れる。

9/26/2023, 11:37:28 AM