りん

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胸の鼓動

ハアハア…
心臓がバクバク。足がガクガク。でも、まだまだ!全員を捕まえるまで終われない!あとは美沙ちゃんだけ!
「あははー!」「まっ、まてー!!」
「捕まるもんですか!」


ドキドキ。テスト返しの時間だ。このテストで点が高かった方がお菓子おごり。負けられない。
また1人、また1人呼ばれてついに僕の番!
「よし!僕の勝ちー♪」「えー、負けちゃったぁ。」


うぅ…緊張で胸が…手汗が…
「大丈夫だよ!あんたならできる!!!」
サッカーの試合開始。必死に、必死に美沙の言葉を思い出して戦った。
なんと優勝!
「さすが!できたじゃん!」


グッ。胸のドキドキが。収まらない。
「ちょ、美沙が僕の番号探して!」
「大丈夫。見てみ?」
125、130…162!163!!
「やった!合格だ!」

今までに無いほど胸がドキドキ。音がうるさい。そわそわ。
「話って?」
「あっ、あのっ、あっ」
喉まで来てるのにつっかえる。だがチャンスは今しかない!
「好きです!!付き合ってください!」
頬を赤く染める美咲ちゃん。
「…!待ってたよ、その言葉。」
「えっ、それって…!」


大学受験も、面接も、胸の鼓動がうるさかった。だけど、美咲の「大丈夫!できるよ!」の一言で乗り越えて来た。


「ねえ、私にね…」「なに?」「赤ちゃんがやってきたかもしれない。」「....!!」
胸の鼓動が速くなる。でもうるさくなんてなかった。

新たな胸の鼓動が始まった。僕と、美咲が半分半分、一つの心臓になって、小さな心臓を鼓動させた。




ツー。ツー。ツー。
美咲という、僕の心臓。今まで休みなく働いてくれてありがとう。ありがとう。
いつの間にか、ベッドにシミがあって、変な声が部屋をこだましていた。
美咲の胸の鼓動が止まっても、世界は止まらなかった。僕の胸の鼓動が止まっても、、。

9/8/2024, 5:53:59 PM