お題→「終わらせないで」
君は、私の言葉になんて耳を傾けずに手に持った刃物で自分を刺し殺そうとした。
私は、刃物が彼に刺さる前に彼のことを押しのけたがその反動で君が持っていた刃物が私に突き刺さってしまった。すごく痛かったけど痛みよりも君がこの痛みを味わわなくて良かったという安心感の方が強かった。
「ねぇ。君。お願いがあるの。」
私が薄れゆく意識の中で声を振り絞ると君は、ハッとして我に返り涙を流しながら私のことを抱きしめた。
「私はね…君に生きてて欲しいの自分の手で自分の命を終わらせて欲しくないの。私との楽しい時間や思い出を…終わらせて欲しくないの。そして…これからの君の人生を…」
私が話している最中彼が何かを言っているようだったが残った意識では上手く聞き取れなかった。
「泣かないで。そして、これは私の最初で最後のお願い。私が居なくなっても…私との思い出や君の人生を終わらせないで。」
言い終わると私は君の腕の中で静かに眠りについた。
11/28/2024, 8:04:35 PM