special day
人によってなにが“スペシャル”か、変わってくるから面白いよね。弟に聞いたら「推しのライブの日」、後輩に聞いたら「なんの邪魔も入らずに本が読める日」だった。後者はなかなか斬新だなと思ったが、後輩らしくていいと思う。
「所長的にはどう?」
「金曜日」
「華金ってこと?」
探偵事務所の所長に聞いてみたら、そんな答えが返ってきた。この人にとって、依頼の内容と来る頻度によって曜日なんか関係ないだろうに。
元公務員の感覚が抜けなくて華金が好きなのかとも考えたが、所長の性格からしてなんか違う気もする。
待て待て。そんな単純なはずはない。所長は探偵である以前にロクデナシだ。間違った、オカルトヲタクだ。ホラー大好きだ。ということは、
「……13日の金曜日」
私が声に出したそれに、所長は「御名答」と言わんばかりにニヤッと笑った。
「かれこれ10年以上待ってんのにちっとも来ねえ」
「そりゃあ映画の話だから来るわけないでしょ」
仮にジェイソンが来たとしても絶対に助けてやるもんか。そういえば、年に1回ないし2回訪れる13日の金曜日ってやたらと所長のテンションが高かったような……。
「猿夢とかカシマレイコでもいいんだけど」
「所長に遭うとめんどくさいから来ないんじゃない?」
怪異側だって遭いたい人と遭いたくない人がいるでしょ。あんたみたいなロクデナシとか。
#いつもの3人シリーズ
(3人中2人不在だけど)
7/18/2025, 11:20:03 PM