神様が舞い降りてきて、こう言った。
「赦して、進め」と。
私は両手で覆っていた顔を
上げて、神様を見上げた。
殴られ、痣だらけの私を
静かに神様は、見下ろしている。
神様の顔に、痣はなく
とても美しい。
家中引き摺り回され、ボロ衣のような
私とは違う。
腹の中で沸々と湧きそうになる
怒りを堪えて
私は、顔を背けた。
神様は、立ち去らない。
それどころか
私の背中をさすり、耳元でこう囁いた。
「よく見なさい、出口は直ぐそこにある」
はっ…とした。
外に出る扉に、鍵はかかっていない。
そして私は……
【お題:神様が舞い降りてきて、こう言った】
7/27/2023, 10:49:52 PM