纏わりつく苛立ちを免罪符に耽る怠惰
何ら変わりなく、滞りなく通り過ぎる橙色
責めるでもなく誰を選んで照らすこともない光
蜜を掬う気力もなく、砕いて割れる砂糖のように
ただ貪り尽くし、訪れない明日に誓いを遠ざける
人生を旅に準えた美しい物語を呪う
奇譚に微睡み空想する傍らで、平凡に縋り繕う
相反する自我、摩耗する精神
刻まれる敗北の記録を投げることで忘れようとした
転がる私を見放すように日は遠ざかる
行かないで、置いて行かないで
まだこの道を照らしていておいて
どうか愛して、雨粒一つ分だけで良いから
何故なら、怠惰は必要なことだった
私は間違っていない、私は間違っていない
遅れていない、忘れられてなどいない
正しくなくとも美しくなくとも、息を切らして後列へ
ひどく曖昧な明日は、迫る暗礁によく似ている
傷つけることで輪郭をなぞった
擦り付ける痛みで無色を隠した
怠惰が招いた傲慢に際限はなく
ゆえに私は見放されたのだろう
同じ過ちを繰り返し汚れて行くのだろう
沈む先にも果てはなく、暗く暗く溶け朽ちるまで
帷と共に重なる悔いを知りながら
嵩張り絡まる錘を引き連れて
なまじ丈夫なばかりに壊れることも許されないまま
辛いよ、苦しいよ、逃げ出したいよ
どこかへ行ってしまいたい、違う誰かに成り代わりたい
叫んでも、誰の耳にも届かない
足掻いても、誰の目にも止まらない
当然だ
坂に置いた石が転げ落ちるように
降り注ぐ雨が巻き戻らないように
起き上がることすらろくにせず、潮の流れに身を任せ
手足の先一つ動かさず、流れ着く終わりを願う怠惰の塊
他ならぬ自身が投げ出している
海底へ辿り着く明日を恐れながら、祈ってもいるのだ
救わないのなら求めるな
背負わないのなら希うな
泣きも笑いもせず固まった頬は、けれどまだ温かい
次に日が昇っても、私はきっと怠けるだろう
馬鹿みたい、自分一人救えない
(8月31日、午後5時)
8/31/2025, 12:00:16 PM