ないものねだり
ペンを持つ。
筆を握る。
震える手で、震える手で紙面に向かう。
誰も私を見ていない。
賛辞の言葉はない。
批判の言葉もない。
ああ、私は眼中にない。
震える線が、生きた線が黒を引く。
視界がざらつく。
頭がふやける。
何年もこうしている。
それでも、誰も私を見てはいない。
散らばる紙面に、評価は下されない。
見ていない。
見ていない。
誰も、見ていない。
だから何だというのだ。
私の生み出したそれらは無意味か?
私の生み出したそれらは無価値か?
私の生み出したそれらは無駄か?
否。
評価をつけるのは必ずしも他者か?
見られることそれだけが全てか?
見られるから作るのか?
否。
私は、私のために作るのだ。
3/26/2026, 6:57:53 PM