奴の屋敷に着いて真っ先に向かったのは奴の使い魔のコウモリの小屋だ。
だがここには居なかったようで、屋敷の玄関へ向かう。
ドアを開けると黒い影が覆い被さってきた。
自宅での飛んでくるフライパンを思い出す。
が、その影は頭の上に力無く乗っている。コウモリだった。
リビングへ行くと相変わらずテーブルの上に奴の首が置かれている。
周りに皿やスプーンが散らばっているのはこのコウモリが主の世話をした後の痕跡だろう。
首は窓の方に向けられており、自分たちは真後ろに居る状態だ。
死んではないだろうから奴は後回しにするとして、コウモリを頭から下ろす。
そしてカバンから1枚のセーターを出すとコウモリを包むように巻き付けた。
それから暖炉に向かい火をつける。
この前準備したばかりのロッキングチェアにコウモリを移動させ、ようやく奴の顔を見る。
目がガッツリと合った。起きていやがった。
すまんが、ワタシも暖炉のところに連れて行ってくれないか?
そう言ってどうやっているのか、ちょこちょこと回って暖炉の方を向く。
仕方ないので奴の首を持ち上げ暖炉前のサイドテーブルに置いてこちらにもセーターを被せる。
自分もセーターを着込み、もうひとつのロッキングチェアに腰掛ける。
今日はこのまま暖炉とセーターの暖かさに寝てしまいそうだ。
全く、いつになったらこの吸血鬼は回復するんだ。
(セーター)
ちゃんと戻ってきてくれた事に感謝してるんだろうな。
11/24/2024, 11:30:31 AM