中宮雷火

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【葬式】

私のおじいちゃんはアルコール中毒だった。
毎日のように酒、酒、酒。
昼夜構わずおばあちゃんに日本酒をねだっていたのを、私はずっと側で見ていた。
おばあちゃんは呆れた顔(というか諦めた顔)をして、無言で日本酒を注ぐのだ。

おじいちゃんはヘビースモーカーでもあった。
おじいちゃんの部屋に入ると煙草の匂いがムンムンと立ち込めていた。
1日に何本吸っているのか想像がつかないくらいだ。
私は絶対に副流煙を吸っているはず。

そんな生活を続ければ当然身体にガタが来る。
年に1回は体調不良で入院することになり、
その度に私はおばあちゃんと一緒にお見舞いに行ったものだ。

そんなある日、突然おじいちゃんが死んだ。
心不全だった。
トイレの中で気を失って、そのまま現世とサヨナラした。
夜6時頃に電話で報せを聞き、あれよあれよと言う間に翌日は通夜、その翌日は葬式と決まった。

葬式の日。
知らない親戚も数多く集う中で、葬式が執り行われた。
皆が最後の別れを告げる中、私はちらっとおばあちゃんを見た。
おばあちゃんは目に涙を浮かべていた。
驚いた。
おばあちゃんが泣いたときなんて、生まれたときくらいしか無いと思っていたから。
その光景を目の当たりにして、
「ああ、それでもおばあちゃんは、おじいちゃんのことが好きだったんだな」と悟った。

11/22/2024, 1:10:15 PM