まる猫

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 “風、気持ちいいね”

 彼女は麦わら帽子を片手で押さえながら

 そう言った

 “本当だね。暑くなるかなと思ったけど、ちょうど良
 い気温で良かったよ”

 僕は彼女の横に立った

 手に汗を掻きながら

 僕は次に話したい内容を頭の中で何度も唱えていた

 “あのさ‼︎”

 “ん?どうしたの?”

 そう言って君は振り向いた

 “そのさ、こ、、、この近くに美味しいソフトクリー
 ムが売ってるんだって‼︎”

 “食べに行かない?”

 君は一瞬きょとんとした顔になった後

 “いいね‼︎ちょうど食べたいって思っていたところなん
 だ‼︎”

 とにこりと笑い、僕の腕を引っ張った

 違う‼︎そうじゃない‼︎そうじゃないんだ‼︎

 そう思い、彼女の腕を引っ張り返した

 “あの‼︎”

 “ん?”

 “その、、、
 今日、、、
 本当にいい天気だね、、、”

 “うん。本当に良かったよ”

 ちが〜〜〜う‼︎そうじゃない‼︎

 本当にそうじゃない‼︎
 
『天気の話なんてどうだっていいんだ。
          僕が話したいことは、、、』より

5/31/2023, 12:09:25 PM