頭が可笑しい███(´>؂∂`)

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【耳を澄ますと】#9

私の目では汚くて理不尽な事ばかり見える。/この世は綺麗だったんだ。私が汚かった。
私の目では真っ黒に染まっただけの世界。/なんて綺麗な世界。私はここにいるのね。

私の腕は筋肉痛で動くのも怠いし…。/無かったらこんなに虐められるの。もう死にたい。
私の腕は無くていつも馬鹿にされるし…。/こんなに動かせるのね。凄く不思議。

私の足は無駄なところに歩くためにあるもんじゃない!/もう一度歩きたい。お願い。
私の足はどこか好きな場所に行く為にあるのよ!/みんなと一緒に進めるのね。嬉しい。

私の痛覚が無くなればいい。/何も感じなかったのに癌なんて…。死にたくないよ。
私の痛覚が戻らないと病気が分からない。/痛覚って大事。私、健康ね。

そんな声を聴くために!
私達…


私だけだと思う。こんな平和な毎日でこんな事を考えるのは。
私はおばあちゃんと居たある日の記憶を覚えている。

『婆ちゃんはね、加奈を知っているんだ。加奈は耳を澄ますと全てが聴こえる。加奈はそして綺麗なんだ。』
「ばぁちゃぁん、ちょこくっきぃたべたい。ばぁちゃん、ぎゅってしてぇ。」
『あいあい、3時のおやつにしようねぇ。』
「ばぁちゃん、ばぁちゃん、うふふ」
『どうしたんだい。』
「ばぁちゃん、うふふ。だいしゅき!」
『婆ちゃんも加奈が大好きだよ。1番好きだよ。』

というたわいのない会話だった。しかし、最初の婆ちゃんの話、私の前世についての記憶!?

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私は前世、珍しい聴覚類の獣だった。私は奴隷で狩りに良く連れていかれ、殆ど囮になっていた。ある日、その囮で私は主に見捨てられた。その日は猛獣と言われるベクサルオンを討伐する軍隊に着いた。50£貰えるし喜んで引き受けた。しかし、予想以上の強さに圧倒され、主は私を生贄としてベクサルオンに捧げたのだ。私は恐怖で動かなかった足を叩いて走った。転んでも、折れても…私の命が尽きそうな時だった。今世の婆ちゃん、前世ではリルが助けてくれた。リルは私の事を珍しい売り物としてではなく、妹のように扱ってくれた。リルは言ってくれた。
『ププは耳を澄ますと、全てが聴こえるのね。そして綺麗な髪をしているわ。ププ、大好きよ。』
そうして私のおでこにキスをした。
私の耳を澄ますと、リルの命はそう永くなかった。
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全てが繋がった。婆ちゃんが言っている意味がわかった。
なんで思い出したんだろ。
私には関係無いのに。
ま、いっか。
私は、耳を澄ませてみた。
うん。いつもの音。
私とあなた。
全部違う。
私の前世なわけないし。
耳を澄ますと
耳を澄ますと
耳を澄ますと………。
「え?」
死んだはずの婆ちゃんの声が
『まだ駄目よ』

そこは病院のベットで、私は意識障害だったって話しよね。
最初から最後までの繋がりないよね。
モヤモヤしてて意味わかんない
記憶障害ぃ?そんなんないっつーの。
あれ、私って高校生だっけ

5/4/2024, 12:55:37 PM