ぱう

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不完全な僕

佐藤は誰もが認める完璧な学生だった。
勉強も運動も優れており、人間関係も円滑で、どこを見ても欠点らしきものは見当たらない。
周囲からは尊敬され、期待される存在だった。
佐藤自身も常に完璧を目指していたし、周囲からの称賛には満足していた。
けれど、そんな完璧な自分を否定される様な瞬間が度々ある。
その理由は、幼馴染である彰人の存在だった。
運動神経こそ抜群だが、他は平凡。
テストなんていつも赤点ギリギリだ。
僕の方が圧倒的に上で、完璧な僕はあいつにない全てを持っている…はずなのに。
なぜかいつも彰人の周りには人がいて、みんなが選ぶのは彰人だった。
僕は完璧なはずなのに、彰人にないモノ全てを持っているはずなのに。
彰人が持っていて、僕にないモノないて無いはず、そう思っていたのに。
彰人も僕にないナニカを持っていた。
僕はどうしてもコレが許せなくて。
けれど、何となく分かってしまうのだ。
勉強も運動も、人間関係も日々の積み重ねで全て手に入った。
手に入れる方法も知っていた。
でも、どう頑張ってもアレは僕には手に入らない気がするから。
どうしたら、彼の様になれるのだろうか。
今の僕に必要な事。
それを見つけるまで、僕は不完全なままなのかもしれない。

9/1/2024, 9:51:18 AM