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「白い吐息」

 シャボン玉を飛ばすように、ふうっと優しく息を吐き出せば白く空気に溶けていく。そんな光景に私は憧れている。私の街では冬でも息が白くなることはない。冷たい北風が体温を奪うけれど、空気はひんやりとしていないのだ。
 どれだけ寒くても、ここでは白い吐息は生まれない。分かっていても、気温が低い日はもしかするとと思ってやってしまう。

 いつか私の命が終わる前に、一度でいいからこの街で白い吐息を見てみたいな。

12/7/2025, 2:22:11 PM