時を結ぶリボン
おばあちゃんから巨大なリボンを貰った。
大きな大きなリボン。何重にも巻かれたロールは両手でも抱えきれないほどだ。こんなに要らないよと言ったけれど、おばあちゃんは大事に使ってほしいのと答えた。
何に使おうかと考えて、私は気に入ったものにリボンをつけることにした。好きなぬいぐるみ、好きな本、友だちからのプレゼント、なんでも。長いロールから少しだけリボンを切り取って結ぶ。リボンは有り余るほどあるから遠慮はいらない。ちょこんと結べばお気に入りの証。身の回りに少しずつリボンが増えていくのは楽しかった。
それからもリボンをつけた。卒業写真にもつけたし、恋人につけたこともある。赤ちゃんのベッドにも添えたし、娘のランドセルにもつけた。子どもたちが巣立ってからは、たくさんの写真を撮ってリボンを添えた。
大きかったリボンは少しずつ小さくなり、やがてほとんど軸だけになった。
最後は何につけようか。
するりとロールからリボンが離れる。
私は少し考えてから結び、ゆっくりと目を閉じた。
私にも似合っているといいな。
12/20/2025, 5:22:18 PM