手を握って笑った君は泣いていた。
「これ…、渡したかったの。」
深夜、君に呼び出されて綺麗な海に来た。
普段はあまり見ることが無い白いワンピースを着て君は黒くて綺麗な髪の毛を風に靡かせていた。
白くて細い手の上に、お守りを乗せて俺に見せた。
俺「お守り…?」
「うん、頑張って作ったんだ。」
俺「そっか…ありがとう。」
君は俺に渡す時に手を握ってくれた。
そして、微笑んだんだ。
「男の人は国のために…行っちゃうんだもんね。」
俺「…」
「私…ずっと待ってる、から。」
君は微笑みながらも、泣いていたんだ。
俺は思わず、君の涙を拭いた。
初めて見た姿だった。
俺「…お前が将来、安全な国で暮らせるよう、俺なりに国に尽くしてくるよ。」
「グスッ……その時は私と結婚してね、グスッ」
「私のこと、嫌いだったかもしれないけど、
グスッ、私は貴方のことが好きだからっ!グスッ」
目の前で泣いてばかりの君は俺の気持ちも知らず自分の思いを話した。
しゃっくりのように肩が上がっていた。
俺はそんな君の涙を優しく拭いた。
「グスッ………」
俺「ほら、笑って。」
3/1/2025, 10:21:19 AM