二次創作

Open App

二次創作 文豪ストレイドッグス
『ひょんなことから太宰(22)のいる世界に来てしまった太宰(15)の世界の夢主』

先にこちらを読むことをオススメします⬇️

https://kaku-app.web.app/p/BqiV3rQox445EZ73D5B3


「は? 何処ここ」
目を覚ますと、そこは知らない天井だった。この消毒液の匂いといい、真っ白な寝具といい、恐らくここは医務室か何かだろう。
「ああ。目が覚めたのかい?」
医務室のドアが開いて、蝶々の髪飾りをつけた女性が現れた。
「えっと、すいません。ここは一体……」
「ここは武装探偵社の医務室さ。急に社の天井からアンタが降ってきてね」
武装探偵社?? それって、未来の太宰が所属してるっていう、あの?
「多分、何らかの異能にやられました。あの……太宰っていますかね」
「太宰? 太宰なら、敦と一緒に任務に出てるよ。そろそろ帰ってくるんじゃないかい?」
この人、すごく話しやすくていい人だな。
「そうですか。あ、ベッドありがとうございました。もう大丈夫です。……その、差し支えなければ太宰を待っていてもいいでしょうか」
「構わないさ。アンタ、名前は?」
「𓏸𓏸です」
「𓏸𓏸? ……アンタまさか、太宰の先輩の𓏸𓏸さんかい?」
私のことを知っている? 太宰が話していたのかな。
「はい。その𓏸𓏸ですが」
「ちょ、ちょっと待っておいてくれ」
そう言って女医(恐らく)は部屋を出ていった。

程なくして、女医は「ちょっと、こっちに来な」と言って私をどこかへ案内した。

「皆。この人が𓏸𓏸さん。太宰の先輩だ」
そこには執務机があって、各々が仕事をしていた。恐らくここがメインなのだろう。
「はい。太宰の先輩の𓏸𓏸です。よく分からないけど、敵の異能で未来というか別世界? に来ちゃいました。とりあえず、太宰が触れれば解けるタイプの異能だと思うので、こちらで待たせていただきたくーー」
私が言い切る前に、目の前にひとがあつまってきた。
「あの太宰の手綱を握っていたとは本当か!?」
「昔の太宰さんってとんな感じだったんですかー?」
「「太宰さんのこと、どう思ってるンですか!?」」
「昔の太宰さんの話、私も聞きたい」
「そんなことより、君、お菓子好きー?」

「お、おう……」
一斉に喋らないで欲しい。お菓子好き? とかなんだその質問。
「こらこら、そんな一斉に喋っても分からないだろう? 1人ずつ喋りな」
女医さん!! あなたは私の救世主かもしれない!


「ーーとまぁ、ざっとこんな感じですかね」
私は事情を全て説明した。
ちょうどその時、探偵社のドアが開いた。
「ただいま帰りました……。あれ? お客さんですか?」
「敦君!! ギブギブ!! ちょ、本当に首締まってる! 締まってるからぁ!!」
「は?」


「つまり太宰は、こっちの世界では度々入水を繰り返してはこうやって連れ戻されている……と」
「はい……」
白髪の少年、敦君から事情を聞いた私は盛大なため息をついた。
「ごめんねぇ!? 敦君!! ほんっとにうちの馬鹿が!!」
「先輩、そんなに言わなくても……」
「更には、色んな女性を誑かして恨みを買っていると……」
周りの社員はその言葉でピシリと固まった。太宰の想い人である私がどんな反応をするのか恐る恐る見守っていた。
「いや、まあ別にそれはいいんだけどさ。いつか後ろから刺されるよとだけ言っておく」
「いいの!? 先輩、嫉妬とかしないの?!」
「嫉妬ぉ? なんで? 別に性処理とか敵の情報掴むために都合のいい女性見つけてるんだろ? 後にめんどくさいことにならなければ別にいいよ」
他の社員も太宰も唖然としていた。私、そんなに変なこといったかなぁ。
「太宰さん、苦労しますわね」
「そうだねナオミ。𓏸𓏸さんは人によっては沼るだろうからなぁ」
そんな声が聞こえたが無視無視。
「それに……太宰は結局私のことが好きなんだろう?」
私がニヤッと笑ってそう言うと、太宰は顔を赤くして俯いた。
「あの太宰を赤面させるだと!?」
「先輩……それは反則……」

「さて、それじゃあ私は帰ることにするよ。太宰、手を出して」
「……はい」
私は太宰の手に触れた。私の身体が淡い光と黒い闇に包まれる。
「太宰、それじゃあ。さよなーー」
「さよなら」という前に私は太宰に腰を引かれた。
「「「!?!?」」」
「んっ……!? えちょ、太宰!?」
「仕返し〜。先輩、さよならは言わないで」
太宰は笑顔でから離れた。手を振る太宰に、とりあえず私も手を振り返しておいた。

𓏸𓏸が居なくなったあとも暫くは社員(乱歩を除いて)は呆然としていた。


𓏸𓏸が元の世界に戻ってから、𓏸𓏸の顔は一気に真っ赤になった。

私、太宰にキスされた!? あの太宰にそんな勇気があったのか……。
この世界の太宰はそんな勇気あるのかなぁ。可能性は秘めてるか……。要注意だな。いつも1枚上手な私が負けるのは気に食わない! またあっちの世界の太宰に会いに行けるといいな。いや、行こう。社員さんたちと仲良くなりたい。


お題:さよならは言わないで
2023 12 05

12/4/2023, 5:23:39 AM