川柳えむ

Open App

 墓の前に少女が一人。墓の周りに何かの種を撒いていった。

 時は流れ、種は芽吹き、蕾を付け、花を開いた。
 花はお墓の周囲を埋め尽くし、まるで花の絨毯のようだった。

 更に時が流れた。
 墓に一人の女性が寄りかかるように亡くなっていた。
 花に囲まれ、嬉しそうに笑っていた。

 それからまた永い永い時が流れた。
 墓は朽ちたが、花は咲き乱れ、その中心に、まるで墓標のように、一際大きな二輪の花が寄り添っていた。


『永遠に』

11/1/2023, 10:36:14 PM