私の名前

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#9 「誰よりも」
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄

僕よりも充実した誰かをみて、自分の存在価値を見失った。
見えたところで。不細工なんだ。

おにぎりかパンかで迷って、なにも選べなかった。
より肝心な時ほど聴こえない。聴きたくない。

職場の上司にあてられて、僕の心は砕け散った。
ワレモノ注意。取り扱いは慎重に…。

醜態を周囲にさらして、自分の浅はかさを咀嚼した。
最高に不味かった。もう食べたくはない。

知人Aの自慢話を、延々と聞かされ続けた。
鼻につくそれを嗅がなくてもいいように、必死に穴を塞いだ。無駄だった。



泣きたくなった。
この広い海原に、簡単に沈む僕の船はまるで役に立たない。

恥ずかしくなった。
出来損ないで頭の足らないどこかの誰かが、
それが僕自身であることが。


つい微笑みたくなった。
優れた図工作品に並ぶ、不器用で不格好な一級品に。

誇らしくなった。
ここで人間を全うするどこかの誰かが、
それが僕自身であることが。








誰よりも自分が大嫌いで、

誰よりも自分が大好きで。




そんな自分が大嫌いで憎いけど、

そんな自分が大好きで愛おしい。

2/16/2024, 12:11:14 PM