かなへび

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【好きじゃないのに】                                    

「ハムちゃん、大事にしてあげてくださいね!」

狭い空間に閉じ込められた私。
早く出して、ここから出して、
私の言うことを無視して、人間が言う。
「この子、すごく元気だなー」


目が覚めると、大きな目が私を見つめていた。
ただただ、怖かった。
「あ!起きた!」
こいつは、私の事が嫌いらしい。
よく、かりかりした苦いものを私の顔に押し付けてくる。
だから、私もこいつの事が嫌いだ。


また、最悪な1日になるのだろうか…
今日も、あいつは私にかりかりを押し付けてきた。
こんな不味い物、食べてやるもんか。
「うーん、あげ方がダメなのかな…」


「ゆきー!今日も可愛いね~」
名前を呼ばれて、私は急ぎ足であなたに近づく。
「おやつでちゅよ~」
手の上に乗せられた物を、さっと頬張る。

その隙に、あなたの暖かい手が、私の背中をなでた。

あなたは、私の事が嫌いなはずなのに。
何故こんなことをするのだろう。
私も、人間の事は好きじゃないのに、
あなたに「ゆき」と名前を呼ばれると、ついつい嬉しくなってしまうのは何故なんだろう、

3/25/2024, 11:35:27 AM