「夕日ってさ、ズルいよねー」
「?何が」
「皆んなから美しいと思われてるところ」
それのどこが?とキミは聞き返す。
「同じ太陽なのにさ、夕日とか朝日とか、自分が見ることができるようになって初めて皆んな美しいと思うじゃん」
本当に美しいと思われるべきは日中の照らしてくれる太陽のことだと私は思う。
断言した私にキミは笑った。
「君は変に詩人みたいなところがあるよな」
いいじゃないか、それでも、とキミは静かに呟いた。
「始まりと終わりだけでも誰かが見てくれるなんて幸せなことだよ。世界はそうじゃない奴ばかりだ……」
その横顔が悲しそうに見えた。
「じゃあ私はキミの終わりまで一緒にいるね」
叶うか分からないことを思わず口にしていた。
4/7/2024, 11:26:53 AM