【星のかけら】
その星は人々の思い出からできたようで、魔女はその周りに散りばめられた星のかけらを集めている。
星になり得なかったかけらは、忘れられた思い出。
そして、彼女は僕の星のかけらを拾った。
「それ、どうするんだ」
訊ねると、「コレクション」と魔女は笑った。
「悪趣味だな」
「もう持ち主でさえ手放したものよ」
「まあね」
どうせ星に紡がれている思い出は、彼女にしか見られないし。
「……どうして、自ら手放したの?この思い出を。大切な人たちだったのでしょう?」
星のかけらを見つめながら魔女は問う。
「"またね"がいつの日か必ず来なくなる事を、僕は知っているからさ」
「へぇ。ただの人間のくせによく言うわ」
思い出を忘れてしまった僕には、本当は何のことだか分からなかったけど、
きっとあの日の自分は同じ言葉を残して捨てたと思う。
星よ、そうなんだろう?
1/9/2025, 11:37:23 PM