霜月 朔(創作)

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とりとめのない話



冬の夜、月の青い光が、
凍えるオレの心を、
更に冷たく蒼に染める。

隣に寝転ぶアナタは、
夢の世界へと、
半ば足を踏み入れながら、
オレのとりとめもない話に、
適当な相槌を返す。

オレは溜息交じりに、
大きく寝返りを打つ。
その気配に気づいたアナタは、
重たそうな瞼を、ほんの少し開けて、
少し乱暴だけど、何処か優しく、
オレの髪を撫でた。

その手の温もりが届く。
けれど、心の深い部分には、
触れてはくれない。
だけど、心の氷河は解けず、
静かに孤独が漂う。
それでも、この温もりは、
オレの身体を僅かに暖める。

オレは、ぽつぽつと語りかける。
語る言葉の端々に、
アナタへの想いと、切なさが混じる。
ずっと言えずにいた、
アナタへの憧れ、そして…恋慕。

きっと、言葉が届く事は無く、
届かせる心算もない。
だって、これは、
只の独り言だから。

次第にアナタの呼吸が深くなる。
寝息がリズムを刻み、
オレの声を覆い隠していく。

それでも、オレは、
とりとめのない話を、語り続ける。
無意味な言葉を、並べ立てる事で、
凍える心を、少しでも埋めたくて。

ふと、アナタの腕が動き、
ただ黙って、オレを抱き締めた。
何処か不器用なアナタが、
オレの心の奥に沈む孤独に、
そっと、触れようとしてくれる。
そんな気がした。

オレは静かに目を閉じた。
この冬の夜が、
永遠に続けばいいのに、と、
そんな、叶わない願いを、
胸に押し殺して。

12/18/2024, 6:47:38 AM