とある恋人たちの日常。

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 ドコから来たのか。
 それは大好きな彼にも言えない。
 
 ココに来てからの私が、今の私のすべて。
 
 居場所がなくなった私が求めたのは、〇〇で。
 でもそれを彼には言えなくて。
 だって、きっと言っても信じてもらえない。
 困った顔で笑ってくれる。と、思う。
 
「遠く……に、来たよね。私」
 
 過去に戻りたいかと言われたら、それは絶対にない。
 
 今がいい。
 彼と想いが通じ合った今がいい。この〝今〟のこれからがいい。
 
 私は窓の外を見つめる。お日様が下へもぐろうとしている鮮やかな夕陽が見えた。
 
 もっと先に……あるのかもしれない〇〇。
 
 そこから逃げた私は、現在(今)、彼に出会って、これ以上にないほどの幸せを噛み締めている。
 
 今がいいの。
 
 夕陽は彼の優しい瞳を思い出してしまうからか、私の目から涙がこぼれ落ちた。
 
 今がいいの。
 この今で〇〇に帰りたいの。
 
 大好きな彼と一緒に。
 
 
 
おわり
 
 
 
二六八、遠く……

2/8/2025, 12:58:38 PM