「この美しい月夜に乾杯! 」「ええ、乾杯」 顔を突き合わせ、視線を絡ませて、ふたりは杯を掲げて互いを労い合う。今日がふたりで過ごせる最後の日。だからこそ、いつもと何ら代わりのない日々を過ごすのだ。指は絡めず、愛は誓わない。それでも名残惜しくて、瞳だけは絡ませ合ってしまう。だから最後の口付けは、互いに瞳を閉じて交わすことにした。そうしなければきっと、互いに縛り付けてしまうから。愛を、魂を、唇を、構築する全てを。
3/7/2026, 11:49:36 AM