深夜徘徊猫

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「さぁ冒険だ」

 今日も変わらずコンビニで適当に買ったつまみと共に酒でも飲んで適当に寝ようとした。ただ、今日はいつもよりもその時間が遅い。

 今、いとこの子供をうちで預かっているのだ。なんでもこの子の妹さんの方が入院中らしく、そちらの付き添いに両親が行かなくてはならないそう。せめてもの協力だ。

 俺は前文でお察しだと思うが奥さんも、ましてや彼女なんて居ない。そのため一人で面倒を見ているのだがそれはそれは手こずる。それでも子供がゲームを持っていて助かったと思った。やっているゲームはRPG。将来の夢は勇者なんだと。

 飲むかと冷蔵庫を開けると酒のストックがない。ちょうど昨日切らしてしまったのだ。仕方がないのでつまみだけは食べるかと準備をする。

「おじさん…。寝れない。」

 惣菜を電子レンジで温めていたところ子供が起きてきてしまった。まてよ?子供と共に車でドライブをしつつ、酒を買って帰れば一石二鳥では?

「じゃあ、夜のドライブに行こうか。さぁ、冒険しに行こう。」

「なにそれ!たのしそう!」

 目を宝石のように輝かせている姿を見るとさっきの考えが恥ずかしくなる。子供心を利用して酒を買う。まったく酷い大人だもんだなぁ。

 冷えないようにコートを着させ車に乗って走り出す。

「おじさんおじさん!窓開けてもいい?」

 頷くと窓を全開にして外に顔を乗り出す。シートベルトはしているしと少し見逃してやる。なんでもその笑顔はどの星より輝いていたから。

 しばらくすると疲れて寝てしまった。まったく助手席で寝るなんて彼女に嫌われるぞなんて冗談混じりに思いつつコンビニにたどり着く。

 空気が澄んで雲一つない夜空を見上げる。この子くらいの時は俺もこの瞬間は冒険していた。冒険心を無くすなんて勇者失格だな。そう思いながら酒ではなくサイダーを買う。これはふっかつのくすりだ!これで冒険を再開しよう!なんて思いながら。

2/25/2025, 3:12:27 PM