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【ただいま、夏。】

響いた声は遠いあの日に置いてきた
懐かしいあの夏の日
君と出会い別れたあの夏の日
さざなみの音も濡れた肌も
ついさっきのことのように思い出せる
だけどあの日に帰れはしなかった
君がいないから

一人で見る海は物悲しく
平気なふりをしてばかりの毎日に
あの日に帰りたいと幾度となく思った
帰ることは許されない
大人になった私はよく分かっているのに
あの夏の日を思い出してばかりいる

かかった影に顔を上げれば
記憶の中の懐かしい君が大人になっていた
驚きと歓喜のあと、あの夏の日のきらめきが戻ってきた
君と会えた瞬間
あの日で止まっていた時間がまた動き出した

ただいま、夏。

8/4/2025, 10:51:47 AM