また会いましょう
「…ねぇ。もう行っちゃうの…?」
俺は彼の服の裾を緩く掴みながら、小さい声で彼に伝える。彼は何も言わずに頷く。
俺が悲しそうにしていると、彼は優しく頭を撫でてくれた。顔を上げると、彼もまた悲しそうな顔をしていた。何も喋らない彼を見て、俺は「やっぱり喋ってくれないのか…」と俺が涙を堪えながら言う。
そんな俺を見て彼は、掠れた声で俺に最後の言葉をくれた。
「…めん…ね?オレの…こと、最後ま…で、
アイして…くれた。もう…時間、そろそ…ろ、
行くね?いつ、か…また、会い…ましょう。」
彼は花々が咲き乱れる道を歩いていく。
だんだんと見えなくなっていく彼の背を眺めていると、俺の意識が遠のいていくのを感じた。
目が覚めると病院のベットで寝ていた。
「…病院?…あっ…そっか、俺を助けてくれたんだ。
あれ…?あの人誰だったけ?」
忘れちゃいけない。そう思っても消えていく記憶。
だけど好きだった、愛したはずなのに。
涙が止まらないな。なんでだろう。
ふわりとシオンの香りがした気がした。
11/13/2024, 11:18:30 AM