- 月夜 -
悲しいときは、
いつもひとりで
夜空を見上げることが多かった。
月明かりは、
真昼の太陽と違って
心を失くしてしまった
わたしにとっては、
眩しすぎなくて
ちょうど良かった。
月のいない
暗闇の夜も、
雨に霞んで
寂しい夜も、
孤独が解されていくように
静寂の中に浮かぶ宇宙の片隅で
すぅーっと息を吸い込んだ。
たとえ、
見えても、見えていなくても、
億万光年のときを経て、
なお キラキラと輝く星の瞬きが
わたしの唯一の救いだった。
何もないわたしに、
何も無くてたって良いことを
静かに、そっと、
伝えてくれた。
ああ…
今夜は、満月なんだね。
3/7/2023, 10:55:13 AM