『涙の理由』
冷房が切られた、生暖かい風に包まれる夏の放課後、私は教室で机に顔を沈めていた。この汗は誰にも見られたくなかった。
しかし、私のその願いは叶いそうにもない。
なぜなら、前の椅子に座って私の様子を伺っている奴が既に居るからである。しかも、1番会いたくない人。神様ってやつは本当に意地悪である。
寝てるふりをして誤魔化してどうにか教室から出てもらおうと企てたが、かれこれ30分ぐらいは経っているような気がする。空もオレンジにきっと変化しているだろう。
仕方がないから、顔をあげた。奴は私の目が腫れていることには気づかなかったみたい。
でも、また少し泣きそうになった。私のことを見てくれないこと。
10/11/2024, 11:05:45 AM