月が凪ぐ夜

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永遠とは、なにをもって永遠と見なされるのだろう。
永遠のいのち? 永遠の愛? 永遠の世界?

永遠なんて私は知らない。信じない。
なにごとにも必ず終りが来ることを私は知っている。

人のいのちは有限であり、いずれは等しく死を迎えるだろう。
人の思いは陽炎のように移ろい、消えゆくことさえ気づかない。
数多の星にも終焉は訪れ、やがては虚無の渦に巻き込まれていく。

永遠とはあまりにも儚いものだ。
けれど、だからといって別に悲観的には思っていない。永遠という、言葉そのものは非常に美しい。

私もかつて永遠を信じていたし、夢見ていた。
幼心に幻想(ゆめ)みるには、永遠とは綺麗な言葉だ。

ただその言葉が持つ誘惑は、人を毒するものだと忘れないで。―――決して、忘れないで。


「永遠に君を愛するよ」
そうしてあなたは私を裏切ったのだから…。



【永遠に】

11/1/2023, 3:41:42 PM