Tamaomutsu

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泣かないよ


「卒業式ってさぁ、泣く?」
先輩たちの卒業式を終えて、部室で散らばったものを片付けようと腰を上げたところで一人が声を上げた。

「なにそれ」
おセンチかぁ?と揶揄い混じりに隣に座っていた人物に小突かれた発言者は、だってさぁ、と立ち上がりながら言った。

「卒業しちゃったらさ!もういつもみたいに会えないんだよ?そんなのさぁ、なんか、寂しいじゃん」

おっ、嬉しいことを言ってくれる。
私はちょっと感心してしまった。
もちろんそういった友との日々を憂いや感謝を込めて泣いてしまうということはあるだろうが、自分の友人もそう思ってくれていたのか、と。

隣の人物に小突かれすぎて少しむすりとしてしまった友人は危惧しているのだ。
自分たちもあと一年もしたら卒業する事になる。
そうなった時に、今の関係が壊れてしまうのが怖いのだ。

揶揄いすぎたか、と困り顔のもう一人の友人と目が合う。
私は友人に目配せして不機嫌顔の友人を二人で取り囲み、両隣からサンドするように軽いタックルを喰らわせた。

「うわぁ!なになになに⁈」

一気にびっくり顔になった友人を見て仕掛け人側の私は諭すように、もう一人の友人は呆れたように言った。

「俺は泣かないかな。だって泣く理由が無い」

「私も泣かないねー。大体想像してご覧よ?ウチらゼーったい卒業しようが、おじおばになろうがサイゼに入り浸るでしょーが」

だから卒業したっていっしょだよ!

2人の声が思わず重なり、感心してたらもう一人の友人は泣き出してしまった。
あらら、結局泣いちゃった。


***

やっぱりこのシーズンなので…。
本当にあの時に友人になってくれた人たちを大切にしていきたい。

3/18/2026, 4:28:26 AM