雨の香り、涙の跡
雨の香りがするたびに、君のことを思い出す。
雨が降ると、君はいつも嬉しそうだった。
「雨が降った時の匂いが好きなんだよね」
少し変わっているかもだけど、と言いながら笑う君の顔を今でも忘れられずにいる。
梅雨に入ったばかりの日だった、君が僕の手の届かないところに行ってしまったのは。
君との最後のお別れの時、雨がざあざあと降っていて、このままやまないでほしいなあと思ってしまった。そうしたらこの涙の跡も雨に濡れてしまったせいだと誤魔化せるのに。
僕は雨の香りが嫌いになった、君がいなくなった時のことを思い出してしまうから。
雨の香りがするたびに、君のことを思い出す。
いつか好きになれたのなら、その時は君のことを思い出すことができるのだろうか。
6/19/2025, 1:35:40 PM