回顧録

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色んなことがあった嬉しいことや辛いこと、しんどいこと。
これまでを振り返れば、ほとんどが後者だった気がする。
夢を叶えられただけで十分と欲のない彼奴なら言いそうだが俺はそうは思えない。その夢だって望んだ形ではなかった。
何かを切り捨てなきゃダメなら俺は、叶わなくなって良かったんだ。

この世界に身を置いている立場で言えることではないが。

何度も辞めることが頭をよぎった。
もしあそこで働いていたら、あの時あの子と結婚していたら。ーーこの世界から身を引いていれば。
大それた夢なんてなくたって、それなりに幸せに暮らせていただろう。

でもその度に俺は彼奴を思い出す。
決して弱音を吐かずに、俺たちに発破をかける彼奴。
でも2人になると一緒に愚痴を吐いて、最後には必ず「大きくなってアイツら見返してやろう」と誓った日の彼奴。
涙を流さなくなった彼奴。
共に泥水を啜ってきた、俺の……なんやろうな、相方になるのか?
最早長い間一緒に居すぎて言葉では表せない。そんな奴。

俺がその手を離してしまうと、きっと彼奴は俺を責めることなくそれを受け入れてしまう。
それがどうしようもなく癇に障るから、
俺はこの不条理な世界を選んでしまうのだ。

幸せなんかより、お前を。

『不条理』


作者の自我コーナー
いつもの2人。お前と書いて不条理と読みます。
相手のことなんて気にしませんみたいなスタンスのくせに、相手に気にされなかったら切れるのもなかなかに不条理(理不尽)だと思います。
でもその相方さんもそんな理不尽な方を選ぶんだろうなぁ。

3/18/2024, 6:26:42 PM