rit.

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目が覚めると知らない場所にいた。
いや、正確にはとても馴染みがあるようで、だが色がなかった。
色がないというのも、白、とかではなく認識できないような何色もない世界である。
ここはどこだろう。
しばらく歩いてみることにした。
すると、無色の世界の中に、1色だけ色を見つけた。
ただ、それがなんという色なのかは表せなくて、青でも赤でも黄色でもない、ただただ綺麗な色だった。
無色の世界には人もいなかった。僕一人だけ。
でも、寂しさ等は感じない。
ただ、そこにある1色を見つめるだけで永遠にときを過ごせそうだと思った。

その時、急に後ろから声が聞こえた。「ねぇ、」
振り返った瞬間、僕の視界は色で染まっていった。
ああ、待ってくれ、まだあの色を眺めていたいのに。

─無色の世界─

4/19/2023, 9:50:20 AM