夜兎

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あんなに愛していたのに一度冷めた気持ちは、
元には戻らない。

「ねぇ、これで何度目?」

「……えっと、2度目?」

「5度目よ!」

居住まいを正す彼氏と友人を見下ろす。
彼氏の浮気発覚で修羅場の真っ最中。しかも浮気相手が私の友人。笑い事ではない。

それなのに当の彼氏はヘラヘラ笑ってばかりで反省の色ゼロ。私の中で、堪忍袋の緒が切れた。

「……私たち別れましょう」

「え!? 嫌だっ!別れたくない!」

「もうこりごりなのよ。あなたのような浮気男なんて」

わざと低い声を出し睨みつければ、彼は押し黙った。

もう彼への気持ちは"恋"ですらなかった。
ただの執着、あるいは情。
それを手放せないままズルズルとここまできた。

そしてたどり着いた結末が別れ。
後味の悪い終わり方に、私は静かに瞼を伏せた。




#愛−恋=?

10/15/2025, 10:45:30 AM