シシー

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 なんてことはない、いつも通りだ。

そんなふうに自分に言い聞かせて灰色の日々を過ごしてきた。ときどき眩しく輝く人やものに出会うと少しの間私の世界は色鮮やかになる。
たったそれだけのことを楽しみに生きて、生きて、生きた。隣に同じような生き方をしてる仲間がいたからそれも励みになった、こともあった。

 いつか別れがやってくる。どれだけ似かよった部分があっても違う人間なのだからしかたのないことだ。
 でもこんなにも、天と地ほどの差が生まれるほど。私とあの子とでは何が違ったのだろうか。

 悔しいとか、妬ましいとか。周りはみんな私があの子に嫉妬しているといって指をさして笑う。真っ黒なペンキで顔を塗りつぶされた有象無象の笑い声が鬱陶しい。
私の世界がどんどん暗くなって、気がついたら薬まみれになっていた。

 でもね、あの子は違った。
昔から変わらない優しさを持ったまま、さらに輝きを増して素敵なパートナーまでみつけてる。眩しく輝く人になったあの子は私の世界を鮮やかにしてくれる。
 今日も花束をもって会いにきてくれたあの子のおかげで花の色がみえるの。
 この繋がりだけはなくしたくない、なくしたくないの。


                【題:絆】

3/7/2024, 8:19:14 AM