もうこれは覗き、かもしれない
通勤電車から流れる車窓に映るピンクのカーテン
毎月、毎日、同じ時間
僕は同じ電車に乗る
季節は変われど電車は変わらない
そうこうしていると
飽きるのも通り越して
楽しみを見つける段階にまできた
当初は同じ時間に同じ顔で乗ってくる、恐らくは同じ様な境遇であろう同じ車両の常連にあだ名をつけたりして遊んでいた
僕は仲間達の格好や仕草、表情から昨日との違いを見つけては、
この電車を降りた後にこの人に起こるトラブルなんかを予言できるレベルにまで達する
その予言が当たっているかはわからないけど、ついにそのレベルにまで達する
そして、そんな毎日があまりにも続くもんだから
もうどうしても飽きてきた頃、あ、と気づいた
通勤電車から流れる車窓に映るピンクのカーテン
なんで今まで気づかなかったんだろう
自分の家のカーテンを選ぶ時、あんなピンクを選ぶだろうか
あんなピンクを選ぶとか、どう考えてもエロい
そして
なんでかわからないけど
カーテンは少し開いている
それで僕は確信した
車窓から見えるあの家には
きっとエロい女が住んでいるに違いない
それから僕は
毎日混み合う同じ顔をよそ目に
時速100㎞で流れるカーテンの僅かな隙間を
カーテンの中身を
見逃すまいと
日々努力している
『カーテン』
10/11/2024, 1:36:09 PM